特集“管理不全”マンション6割の衝撃


4月3日に掲載されたNHK WEBの記事です。
とても気になる内容でしたので掲載しておきます

以下記事


大都市圏を中心に、新しいマンションの建設が次々に進む一方でマンションの「老朽化」が進んでいます。国の調査では全国の3割のマンションが築30年以上となっています。こうした中、埼玉県の調査で、老朽化したマンションの6割近くが、適切に管理されていない“管理不全”の状態にあるとみられることがわかりました。(さいたま放送局記者 直井良介)





劣化が止まらないマンション




取材で訪れた埼玉県内の築34年がたったマンションは、外階段の壁が大きくえぐれていました。このマンションは、34年間、大規模な修繕が一度もされたことはなく、廊下の壁や天井には無数のひび、それに大きな穴まで開いていました。




部屋のベランダに設置された避難用のはしごは1度も点検されていません。「緊急時に避難用具の扉が開くのかどうかさえ分からない」。 住民は不安そうに話していました。


なぜ修繕工事がされなかったのか




5階建てで10世帯が入居するこのマンション。マンションは本来、大規模修繕などの計画を立てるため、住民による管理組合を組織することが法律で定められていますが、このマンションには存在していませんでした。その理由を古くからの住民に聞くと、もともとこのマンションは賃貸で、その後、分譲マンションになったことから、管理は賃貸の頃からずっと、大家任せにしていたといいます。


分譲マンションになったあとも住民は大家に共益費として月に5000円を支払っていましたが、廊下の蛍光灯の交換や貯水槽の清掃のためなどに使われ、将来的な大規模修繕に備えた積み立て金はありませんでした。


マンションの住民はひび割れなど劣化が著しくなっても「大家がそのうち直してくれるだろうと」と人任せにしていたと話していました。


”管理不全”マンションが6割


このように住民による管理組合が機能せず、修繕工事など適切な管理が行われていない”管理不全”となったマンションは、老朽化が進むと劣化した外壁がはがれ落ちるなど危険があります。


マンションはそこに住む人たちの私有財産であっても、問題を放置すると周辺の環境への影響が大きいことから、行政も実態調査に乗り出しています。


埼玉県は、平成28年度までの3年間かけて、県内にある築30年以上の363のマンションを対象に、アンケート調査を初めて行いこのうちおよそ6割に当たる216から回答を得ました。




調査では、▽大規模修繕を行っているかや▽管理組合の総会の開催頻度など、52の項目について質問し、回答を県が分析しました。その結果、「管理不全の状態にある」とみられるマンションが8.3%、「今後、管理不全に陥る可能性がある」とされるマンションが47.7%と、実に6割近いマンションで管理組合が機能せず、必要な修繕など適切な管理が行われていないとみられることが明らかになったのです。


修繕の計画なしが2割


また、国の指針ではおおむね築12年ごとに必要とされる大規模修繕工事を10%余りのマンションが一度も行っておらず、さらに大規模修繕の計画が作られていないマンションがおよそ20%あることもわかりました。




この結果について、マンション管理の問題に詳しい日本マンション管理士会連合会の親泊哲会長は、「建物の老朽化に合わせて住民の高齢化も進み、マンションの維持管理を主導する管理組合で役員が決まらないなど、機能しづらくなっていることは国の調査などからも明らかになっている。全国的にも埼玉県の調査結果と同じ傾向にあることが予想され、早急な対応が必要だ」としています。

“マンション管理士”との連携動きだす行政




実態調査の結果を受けて埼玉県は対策に乗り出しました。マンションの維持管理のプロとして国が認めた「マンション管理士」と連携し、県がアドバイザーとして認定したマンション管理士を無料で派遣し、管理組合の運営方法や修繕計画の作成などのアドバイスを行い、マンションの管理不全を防ごうとする取り組みです。


アドバイザー利用したマンション


埼玉県春日部市のこちらのマンションは、国の指針で修繕が必要とされる築12年となり、住民による管理組合が▽大規模修繕の進め方や▽業者の選び方について、アドバイスがほしいと、県の制度を利用しました。




この日は、マンション管理士が訪れ、管理組合の役員を務める住民などと一緒に建物の劣化が気になる部分を確認して回りました。
見回りでマンション管理士は、共用部分の外階段の手すりの根元に入ったヒビの危険性を指摘していました。ヒビの周囲が黒ずんでいるのを見て、「ヒビから水がしみこみ、このままでは中の鉄筋がさびて、手すりが崩れ落ちるおそれがある」として、一刻も早い修繕が必要だとアドバイスしました。





業者の選定は住民主導で


また、修繕を行う際の工事業者を選ぶときには、「管理会社などに任せっぱなしにせずに住民がきちんと関わることが大切だ」とアドバイス。住民が委託した管理会社が、工事の際に1つの業者にしか見積もりを取らず不当に高い工事費を請求されたり、修繕工事の途中経過をチェックしなかったことから、手抜き工事が発覚するなど、マンションの修繕工事をめぐるトラブルが多発しているからです。




アドバイスを受けた管理組合のメンバーの男性は、「修繕工事について、してはいけないことや早急に取り組むべきことが明確になりました。修繕工事はマンションの住民から集めた貴重なお金を使うため、慎重に業者を選びながら住民どうしで協力して進めていきたい」と話していました。
いま、多くの自治体は、マンションの修繕に関する相談会などを開き、管理不全の問題を把握するためにも利用してほしいと呼びかけています。




冒頭で紹介した管理不全に陥ったマンションは、不安を感じた住民の一部が声を上げて地元の自治体の相談会を利用したことをきっかけに、新たに管理組合を組織し再生に向けての取り組み始めています。


避けては通れないマンションの「老朽化」。“個人の資産”として住民ひとりひとりがマンションの劣化を気にかけ、管理不全に陥らない対策を進めることが求められています。


さいたま放送局記者
直井 良介


以上記事


マンションのこのような問題は深刻です。これは埼玉県の問題ですが、全国的にこのような問題は起きていると思います。


早い段階で対処しないと大変なことになるので、管理不全に陥っていると思われるマンションにお住まいの方は早めに対策をねられることをおすすめします




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