マンションで以前では考えられなかった問題がでてきています


知られざる地雷、「マンションの駐車場」問題
行政の「付置義務」が解決を難しくしている


というタイトルの東洋経済の記事です。まずは記事をご覧ください


「このままでは、20年後の大規模修繕計画を乗り切れない」


東京都江戸川区にある築10年、160戸のマンションで理事長に就任した山本雄一さん(仮名)は、人知れず焦燥感を抱いていた。


高齢化の進展でクルマを手放す住民が増える一方、若者のクルマ離れで新たに駐車場を借りる住民は減っている。このためマンション内の駐車場で空きが目立ち始めているのだ。


空き駐車場は住民のサイフの問題になる


山本さんのマンション敷地内には機械式立体駐車場が54台分設置されているが、すでにうち15台が空いている。


今から20年後に迎える大規模修繕計画では、立体駐車場をリプレースする費用として約2億円弱が予定されている。一方、このマンション内の駐車料金は平均で月2万7000円。このまま手をこまぬいていれば、年間490万円近くの収入が不足する。20年間では9800万円も不足する計算だ。駐車場収入の一部は月々の管理費にも充当されているため、収入不足はそっくり将来の駐車場の更新費用不足となる。


つまりこのままでは、20年後に駐車場の更新だけで住民1戸当たり60万円超の一時金が必要になるというわけだ。大規模修繕計画は十数年前に立てたものであり、現在の人件費高騰や資機材値上がり分はもちろん、消費増税分も考慮されていない。これからさらに駐車場の空きが増えれば60万円では確実に足りない。


だが、駐車場が空いているかどうかはクルマを所有していない住民は気づきにくい。また、空き駐車場が将来のマンション、ひいては自分たちのサイフの問題に直結していることに思いが至らない人も多い。


山本さんのマンションでは、駐車場分だけでなく全体の修繕費が不足していた。理事会で山本さんは「将来、老朽化した配管や外壁の修理さえも満足にできなくなる」と修繕費の値上げを訴えたが、「まだ先の話」「意気込みはわかるが自分たちの代でやらなくとも……」と値上げ案は却下されてしまった。


条例による付置義務が大きな足かせに

マンションの修繕積立金問題が指摘されて久しい。国土交通省によれば、大規模修繕の工事費すべてを修繕費積立金で用意できたマンションは66.9%だが、大規模修繕の2回目、3回目と年を経るごとに不足に陥るマンションが増えているという。


その中であまり目を向けられてこなかったのが、駐車場の問題だ。なかでも機械式や自走式の立体駐車場を抱えるマンションにとって影響は大きい。平面式であれば、それほど費用をかけずに撤去できる。だが、機械式は解体するにも莫大な費用がかかるからだ。


マンションにおける空き駐車場の問題は、高齢化の進展やクルマ離れだけが原因ではない。自治体の条例による「付置義務」が大きな足かせとなっている面もある。


ある規模以上のマンションには付置義務という、規模に応じて駐車場を設置しなければならない条例がある。たとえば、東京都であれば延べ床面積が1万平方メートル超で、かつ専有面積が2000平方メートル超の集合住宅では、居住戸数の30%以上、もしくは専有面積350平方メートルごとに1台以上、このうち少ないほうの台数の駐車場が付置義務として必要となる(2014年以前は住居戸数の30%以上のみ)。


千葉県浦安市では、100戸以上のファミリータイプのマンションにおける付置義務は住戸に対し100%以上、来客用も5%以上が必要となる。この場合、たとえ住民の半数以上が駐車場を使っていなくとも、1台でも駐車場を潰せば付置義務を満たさなくなり、建築基準法違反になる。そうなると将来の増設や建て替えなどが不可能になってしまう。


つい最近まで、行政は付置義務で決められた以上の駐車場を作るようマンションデベロッパーに求めてきた。そうしたこともあり、最近では引き渡し直後から空き駐車場が目立つ例も増えている。付置義務以上の駐車場を作ったマンションデベロッパーに対しては、住民から「入居前に(駐車場利用に関する)アンケートを取ったじゃないか。それなのに空きが多いというのは、事前の調査が不足しているせいではないか」と不満の声も噴出する。


ただ、マンションデベロッパーは「不可抗力の面も大きい」と苦しい胸中を吐露する。住民に駐車場利用のアンケートを実施するのは、希望者に駐車位置を割り振り、入居をスムーズにするため。そもそもアンケートの実施は、自治体との調整を済ませ、駐車場台数を含めた建築確認を取り、着工した後だ。その段階で利用者が少ないことがわかっても、収容台数を変更するには、再届け出と調整に多大な手間暇と膨大な費用がかかり、引き渡しスケジュールまでが変わってしまう。「現実問題として(着工後の)台数変更は不可能」(マンションデベロッパー)。


商業ビルでは付帯義務を緩和


神奈川県横浜市にある「ザ・パークハウス横浜新子安ガーデン」も、2015年の引き渡し直後から空き車室に悩んでいた。


このマンションの駐車場は機械式立体だが、入居直後から稼働率は7割程度と低かった。このため1期目の理事会が危機感を抱き、外部への貸し出しなどを検討。しかし、マンション敷地内へ外部者が立ち入ることがネックとなり、セキュリティ面から断念。そこで長期修繕計画の見直しと合わせて、立体駐車場の一部を潰して平面式に転換することで、負の遺産とならないよう模索している最中だ。


ただ、こうして早くから見直しに着手できるのは異例中の異例。駐車場運営大手の日本駐車場開発で、長年、マンション駐車場に関する相談業務を行ってきた井野雅久コンサルティング部部長は「そもそも危機意識が薄く、潰す決断そのものができるマンションは少ない」という。


国土交通省は2017年末に商業ビルや事業用ビルに対しては、付置義務台数の緩和に乗り出した。この背景には、付置義務制度により需要を超える駐車場が設置され、明らかな歪みが生じていることがある。これはマンションに関しても同じことがいえるはずだ。


今回の指針をまとめた国土交通省都市局は「マンションに関して問題が起きているとの声は(国交省に)届いていない」と言い切る。何らかの対策を講じる必要があるのではとの問いに対しても「各自治体が考えるべきもの」と素っ気ない。


マンションにおける空き駐車場が本当に切実な問題として浮上するのは、10年後、20年後という時間を経てからだ。その間、空き駐車場はじわじわとマンションの財政をむしばみ続ける。問題が顕在化したときに付置義務の台数を緩和しても問題は解決しない。少なくとも過大な付置義務は早急の見直しが必要だ。

以上記事


高齢化の進展や若者のクルマ離れの影響でこのような問題までもが出てきているとは驚きです。特に車を使う必要がない都心部で発生してきている問題だとは思いますが、今後高齢化が進んでいくと地方にもこのような問題が広がっていく可能性があります。


滋賀県などはマンションの駐車料金も比較的安く、やはり車がないとまだまだ生活に不便があるので駐車スペースの確保が順番待ちであるマンションも多くございます。


ただ、今後このような問題が発生する可能性があるということをふまえて、マンションの管理組合、行政双方が早めの対策をとる方がいいのかもしれません。


時代が移り変わってくると今迄考えられなかった問題が本当に多く発生してくるものですね。特に不動産に関しては、少子高齢化社会にともなって発生する問題が多く見受けられます。今回の問題もそうですが、所有者不明地の問題や空き家問題に関しても、少子高齢化社会だからこそ起こる問題です。


弊社におきましてもできる限り、お客様の問題解決のお手伝いをできるように最大限努力していく所存です


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